2014/7・8月豪雨災害レポートNo.7
丹波に入っていた頼政は、今日から広島に入ります。広島土砂災害発生後、早い段階から当NGOが行っている「足湯活動」の継続的な体制づくりと、丹波同様震災がつなぐ全国ネットワークとの連携のもと、経験のある外部ボランティア・コーディネーターが広島に入る場合の調整を、他のネットワーク団体と行います。
ただ、何度もこのレポートで触れているように、頼政は地元安佐北区を実家に持っていることもあって、今後の中・長期的な被災者(被災地)支援を念頭におき
ながら、被災者はじめ地元のサポーターの動きと連携して、活動を展開する予定です。今後ともご協力・ご支援のほどよろしくお願い致します。
(被災地NGO恊働センター)
+なお、これまでのレポートと内容が重複する部分もありますが、丹波市市島に関する総括的なレポートはこのレポートの最後尾につけておきます。
<広島市安佐南区、安佐北区>
*被害の状況
下
記の写真のようにとてもボランティアでは手に負えないような場所もたくさんありました。道路が川になっていて、水が勢いよく流れていました。「よくこんな
所に宅地をつくったなぁ」というのが正直な印象です。当事者が徹底して議論をし、場合によっては「集団移転」という選択肢もあろうかと思います。現実に、
当該地区で被災を受けた被災者の女性は「この状態では、家が片付いても、周りはほとんど被災しているのに帰るのもどうかとおもう」と漏らしています。
*足湯活動
昨日は、今後の足湯活動の継続のために、地元の民生委員さんやキーパーソンと被災地を回りました。安佐南区で足湯を行い、地元のお坊さんたちが足湯ボランティアに加わって下さっています。ちなみに、このお坊さんによる足湯活動は、能登半島地震(2007)の時に、「高野山足湯隊」(高野山真言宗のお坊さんたちが作られた足湯隊)が発足し、その後全国各地でも足湯講習会などを開いて来た成果と言えるでしょう。
今日は、午後に最大の避難所梅林小に入り、足湯を実施する予定です。民生委員さんのご紹介で「特定非営利活動法人日本ホリスケア協会」という団体から連絡を頂き、足湯活動を実施することになりました。
*課題
先
述の梅林小学校も同じですが、避難所になっている被災地の小学校は、夏休みだったので教室も開放して下さっていたことが被災者にとっても、少しはプライバ
シーが守られるという状態だったかも知れません。とはいえ、避難生活が長引くことと学校も新学期が始まるという事情を考えると、もう限界に来ている方も少
なくないのが今の状況です。
広島市は、「ホテルを借り切り、被災者の一時的な避難生活に活用」と打ち出しました。もちろん、十分な対策とは言えないかも知れませんが、こうした住環境
を活用しつつ、今後の恒久的な住居の確保をじっくりと考えることが必要かと思います。一方、ボランティアの支援はきめ細かな支援体制を組まなければ、支援
格差が噴出し、被災者にとっては不安とストレスが増大するばかりであることに最大限の注意を払わなければならないでしょう。
丹波市水害報告
丹波市全体で、全壊16棟、半壊21棟、一部損壊16棟、床上浸水237棟、床下浸水1,382棟と大変大きな被害となりました。丹波市は2004年に氷上町、柏原町、青垣町、春日町、山南町、市島町の6町が合併して出来た町です。今回の水害では特に旧市島町が大きく被害を受けました。今回の市島町での被害は、竹田・吉見美和・前山と大きく3地区に分かれています。この3地区には町の中心を流れる竹田川に向かう支流が流れており、その沢沿いに土砂崩れなどが発生して大きな被害をもたらしました。特に前山地区の被害が大きく、土砂崩れによって全壊した家屋も多くあります。
土
砂崩れは杉などの針葉樹のみでなく広葉樹も含みながら崩れていました。丹波市は昔から炭焼きが盛んな地域で、白炭の生産が多くありました。しかし、現在で
は外国産材の輸入によって価格が大きく下がり、林業に携わる人たちは減ってきてしまっています。その結果、山が荒廃し今回のような土砂崩れや水害を引き起
こしてしまったのではないか、と地元の方はおっしゃっていました。これは2009年の佐用町水害の時も指摘されていたことですが、山の手入れと水害とは密接な関係があるようです。竹田地区の大森集落などは竹田川に向かい段丘になっていて、一番低い川沿いの土地には田んぼが多く、住家は2段目の少し高い位置に作られていました。これは昔の方の知恵なのだと思います。
市
島町は、農業の盛んな町で有機栽培などの野菜を作っておられる方が多いようです。しかし、今回の水害で田んぼも含めて大きな被害が出てしまいました。田ん
ぼの被害については、保険の関係ですぐには手を付けられないという方もいますし稲かりもコンバインを入れることができない(大きな石があると歯が欠けるた
め)のでどうしようと悩んでおられる方もいました。今後は、農業や田んぼの再建に向けて中長期的にどのようなお手伝いが出来るのかも考えていかなければい
けないだろうなと思います。
住民の方々は、被災後1週
間以上たってきて疲れもたまってきています。多くの方が、私のところよりもひどいところを優先して!とおっしゃっていますが、自分たちで片付けをしていく
ことに限界を感じている方も出てきました。ボランティアがそういった方々の所に寄り添いながらお手伝いをしていく重要性を感じます。物資なども(被害の少
ない)私なんかが取りにいってもいいの?という声も聞かれました。物資が欲しいという声が出せない方、ボランティアに来てほしいという声が出せない方の声
なき声をどのように拾っていくのかが今後の課題になってきています。
28日の夕方には神戸大学の学生と共に避難所で足湯ボランティアを実施して、3名の方に来ていただけました。3名とも女性で、被害の大きかった前山地区の方々です。つぶやきを少し紹介します。
「家は床上浸水で息子が3週間休みをとって片付けしている。息子から片付けが終わるまでは避難所にお世話になろうと言われて、今までお世話になっています。」
「こんな災害は初めて。今まで災害は他人ごとだと思っていた。災害にあって初めて気持ちがわかった。まさか山が崩れるとは思っていなかった」
「炭焼きが盛んだったけど、いまはほとんどいない。戦時中はよく学校で炭焼きをしていた。勉強もせずに。男の子が木を切る役目で女の子は木を運んでつめる役割だったのよ」
「足湯は気持ちよかった〜。足湯なんて初めてしてもらった。本当にありがたいねぇ」
(連絡先)被災地NGO恊働センター
〒652-0801 神戸市兵庫区中道通2-1-10
TEL:078-574-0701/FAX:078-574-0702
E-mail:info@ngo-kyodo.org(担当:頼政・村井)
郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
*お手数ですが、通信欄に「2014、7月8月豪雨水害」と明記下さい。
ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座
0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター
(*なお、申し訳ありませんが、どの被災地に活用するかは当方にお任せ下されば助かります。どうしてもご指定があれば、「丹波」「福知山」「広島」などとご記入下さい。)