2014/78月豪雨災害レポートNo.5

 このレポートを配信して以来、ボランティアによる支援活動への支援をお願いしています。毎日のように、寄付が寄せられるのですが、25日 に千葉県在住の女性から「広島土砂災害へのボランティアの方への後方支援として使ってください。」と添え書きをつけて寄付を振り込んで下さった方がおられ ます。こうして明確に使途を指定して下さることは、私たちにとっても大変勇気づけられるものです。心から感謝致します。ありがとうございました。みなさ ん、今後ともよろしくお願い致します。   (被災地NGO恊働センター)

 

<兵庫県丹波市>

昨日は丹波市市島に入っているスタッフからレポートが来なかったので、丹波レポートは配信しませんでした。今日は送られてきましたので、みなさまとも共有したいと思います。

 

*被害の状況

◆被害は山が崩れて土砂が流出している家と川が増水し浸水した家で別々になっています。
今回は3地区のうち、竹田地区の集落(大森・高坂)を回らせていただきました。

◆この2つの地区は竹田川が近くに流れており、高坂地区は橋に流木がからまり水があふれてきてしまったようです。

◆大森集落では、小規模な山崩れが発生していました。杉などの針葉樹が多いため根が張らないことが原因ではないかと山の持ち主さんはおっしゃっていました。
このあたりの地区は竹田川にそって段丘になっており、山崩れが一番上、山側の家が2段目、さらに道路をはさんで3段目にも住家が建っています。
今回の大森地区も3段目に建っているお宅はほとんどが床上浸水しており、2段目の家は床下浸水の被害が多く出ていました。

◆土砂崩れは、針葉樹ばかりが多い地域のみではなく、広葉樹も同じように崩れてしまっている場所もあります。地面がそのままスライドしてしまったような状況のように感じました。








 

*被災者の不安
◆住民の方々の中には、まだまだ被災後の見通しがたたず疲労の色が見えます。

あるお宅の住民は、「とにかくボランティアさんに入ってもらって進んではいるけど、次にどんなことをしたらいいのかわからないのが不安。家も何が使えて何を 捨てないといけないのかわからない」「生活に必要な物資、例えば歯ブラシやサランラップみたいなものも全部流されてないけど、私たちみたいな浸水だけのも のがもらってもいいものか。中には全壊の人もいるのに」という声が聞かれました。



*ボランティア・センターの課題

◆まだ完全に被災者の被害実態が把握できていない。

 

28日の夕方1630分から1730分まで避難所での足湯ボランティアを実施することになりました。          (現場レポート 頼政良太)

 

<広島県安佐北区、安佐南区>

今 日は神戸から舞子高校の環境防災科の卒業生も合流し、広島の地元の大学生も参加してくれて活動ができました。今日もまた時折雨が強く降る不安定な天候でし た。昨日に引き続き可部小学校の避難所で足湯活動をしました。木陰で数人の方に足湯をしたのですが、突然の雨に午前中で中止を余儀なくされました。それで も数人の方に足湯を提供できました。

 


午 後からは三入地区を回りました。いまだ避難指示が出ているので、ボランティアが入れずに被災者の方が、「ここよりも酷いところがあるから、ボランティアに も無理言えない。だから一人でぼつぼつやるんだ。ボランティアの人にはほんと感謝してるよ。掃除をしてもらって、何もこちらはできなくて、心が痛んだよ」 とつぶやいていました。別の方は「避難指示が出ているから、ボランティアも入れないし、でもやらなきゃしょうがいないし、一人でも二人でも入ってくれると 助かるんだがね」と。



また、地元の区長さんは「田んぼへの水路が土砂で埋まっていて、今は田んぼへの水が必要な時だから、ボランティアを自分で募って手伝ってもらったよ。まだ3ヵ所水路がつまっているんだ」と。

 


〜足湯のつぶやき〜

「家は大丈夫だったんだけど、庭まで土砂がきて、ある程度まではやったんだけど、スコップが曲がっちゃうからこれ以上は私たちにできないんですよ。働いている所にも土砂がきて行ける状態じゃないんでここで(避難所)で弟たちの面倒をみてる」(19歳女性)

 

「道はきれいになったんだけど、家の駐車場は土砂がたまったまま。家以外を頼めなくて。ボランティアさんが何人かできて、飯もくわずに片付けてくれてありがたすぎて気が滅入っています。」(60~70代男性)

 

「最近痴呆症がはじまって・・・。」(70代男性の娘さんのつぶやき)

 

「部活はバレーボール部。でももう引退した。でも今は勉強どころじゃない。お父さんは家の片付けに行っている。私はこなくていいと言われた。お母さんは洗濯とかしに戻っている。ここはそんなに暑くない。朝はむしろ寒いくらい」(高校一年生女性)

(現場レポート 増島智子)

 

「広島土砂災害、土地は語っていた」

広島県には、「土砂災害危険個所」が全国最多の34000か所ある。また全国的には525000か所ある危険個所が、警戒区域として指定されているのは7割程度だという。広島県で指定されているのはわずか37%。奇しくも1999年の広島での土砂災害(死者30名)をきっかけに制定された土砂災害防止法によって警戒区域の指定は進まなかった。その理由は、警戒区域に指定されると地価の下落を招くことから住民の反発もあった事、昭和40年代からの宅地開発の問題もすでに多く指摘されている。

 

 先日、ある報道番組で、今 回甚大な被害を出した安佐南区の八木という場所が、かつては「蛇落地悪谷(じゃらくじあしだに)」と呼ばれていたという報道がされていた。この地名は、蛇 が下りるように水が出る、悪い谷だという伝説があったと地元の浄楽寺の住職も語っている。また住民の中にもあそこは水の通り道という事は聞いたことがある という人もいる。また地元では山津波(土石流)と呼んで恐れられていたという話もある。その後、地名が蛇落地から「上楽地(じゃうらくち)」に、そして 「八木上楽地芦谷(やぎじょうらくちあしや)」に変り、現在では、八木という部分しか残っていなかった。浄楽寺という名も蛇落地から変化したものと思われ る。

 

避 難所になっている安佐南区八木の梅林小学校(梅は埋めの意味もある)の後方に鎮座する光廣神社は「八木の守り神」として崇められている。ここには八木城主 が大蛇(竜)を退治した刀がかつて奉納されていた。それを記した石碑「蛇王池の碑」や絵は現存しており、その絵には退治した城主の横には激しい水の流れが 描かれているという。水神である竜と水を描くことで災害の記憶を後世伝えているのだろう。

 

また、同じく被災地になった緑井(みどりい)という地名も、「水を取る井戸」(みずとりいど)と解釈すると元々、水の出る場所であったということがわかる。

地名は、その土地の履歴書と言われる。その土地の事を知り、どこに住み、自然(災害)とどのように向き合うかを人任せにぜず自分自身でしっかり考えなくてはいけない。

(吉椿雅道)

 

 

(連絡先)被災地NGO恊働センター

652-0801 神戸市兵庫区中道通2110

TEL:078-574-0701FAX:078-574-0702

E-mail:info@ngo-kyodo.org(担当:頼政・村井)

 

郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター

  *お手数ですが、通信欄に「201478月豪雨水害」と明記下さい。

ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座

0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター

(*なお、申し訳ありませんが、どの被災地に活用するかは当方にお任せ下されば助かります。どうしてもご指定があれば、「丹波」「福知山」「広島」などとご記入下さい。)