2014年7月・8月豪雨災害レポート.32
広島に関しては、20年前の阪神・淡路大震災の2日後に結成された「阪神大震災地元NGO救援連絡会議」(代表・故草地賢一)が、展開した災害直後の支援者間の連携と課題解決のための行政との対話がいま、始まろうとしています。
NPO/NGO連絡会と行政の間に「被災者支援復興会議」のようなものが立ち上がると、行政との関係が円滑に行くでしょう。
(広島水害支援報告)
5日は、午前中にウィズ広島という更正保護施設で49日法要に使うろうそく作りを行いました。
施設の入居者さん約15名が早朝からろうそく作りにご協力くださいました。みなさん、真剣に作業を
してくださって自然と役割分担もでき、多くのろうそくを作る事ができました。みんな豪雨災害の支援に何かしたいけど、という想いをひとつひとつのろうそく
に込めてくださいながら作業をしてくださったように感じました。
職員の方の中にはボランティアとして安佐北区の被災現場で活動された方
もおられ、「何もできないけど話を聞くだけでもありがたいと言われた」とおっしゃっていました。こうしたいろんな方々の支援の力をつなげていくことが大切だなぁとあらためて感じました。
午 後からは阪神・淡路まちづくり支援機構の津久井弁護士と一緒に被災地域の視察を行いました。視察した地域は安佐南区緑井地区と八木地区です。夕方には安佐 北区の可部東新建団地に向かい、自治会長さんとお話をすることが出来ました。自治会長さんとしては、これから道路の復旧工事や河川の工事等も始まる中で、 市や県の計画に対して要望も出していく必要性を感じておられました。
し かし、なかなか計画の最初の段階から入っていくということは出来ないとおっしゃっており、市や県の説明を待ってから、こちらからも要望を出していくことに なるだろうと言われていました。個別の住民の方々にはそれぞれ工事に関係する悩みであったり(例えば河川工事が自宅付近のため、その工事が終わらなければ 家の工事に 入れないなど)それを弁護士さんなどとも相談しながらやっていきたいとのことでした。
しかし、弁護士さんにも何をどう相談していいかわからない、ともおっしゃっていて、定期的に訪れながらいろいろと話を聞く事も必要だと感じました。
6日には、福井からの僧侶をお迎えして昨日と同じように被災地の視察を行いました。夕方からはピースボートさんの炊き出しとともに、共立病院での足湯を行いました。
足
湯を準備すると早速女性の方が参加してくれました。「遠いところからありがとう。申し訳ないね。」と恐縮されていました。お家の話になると「いまは土日だ
け若い人たちがきて、泥出しをしてもらっているの。ここ(避難所)にいつまでおいてもらうわけにはいかないから、早く家も片付けないとね。」と。
すると、数名の方が今日は広島カープの2位決定戦だということで、ロビーにテレビを見に集まってきました。足湯をしながらお弁当を食べテレビ観戦です。支援者方から頂いた梅干しと無農薬のお茶は好評でみなさん大変喜ばれました。
(↑容器に入った梅干し。サイズ大きめ)
ピースボードの担当の方に話を聞くと、災害対策本部から、火を通していないもの、お弁当に邪魔になるもの(これは量などが多いとお弁当を残してしまうからだそうです)など炊き出しに関しても制限があるようです。
直後の一週間でも同じお弁当でみなさん飽きていて、野菜不足から便秘になる被災者いたにも関わらず、なぜこのような制限があるのでしょうか??また別の方
は「昨日は毛布が一枚しかなくて、寒くて寒くて、毛布はもらえるのかしら」とおっしゃったので、これもびっくりしました。市の常駐している担当者に話すと
すぐに対応してくれましたが、もし話せずに我慢している人がいたとしたら・・・。東日本大震災の直後でもなかなか声を出せずに我慢していた同じようなケー
スがありました。
20年前の阪神・淡路でも固いおにぎりでみなさん苦労していたのを思い出しますが、20年経ってもその教訓はいかされていない現実に憤りを感じました。海外では密集している避難所でも煮炊きができるケースがあるのですが、どうして日本の避難所はできないのでしょうか?今回私たちも避難所での足湯はかなり制限されています。
学校では教育委員会が、学校が再開して生徒が登校を始めた途端に危険という理由からプロパンなどで火を使うことが禁止され、ピースボードさんのお力を借りてキッチンカーでお湯を沸かして頂いて、足湯を行うことができていますが、足湯単独での開催はできないことが多いです。
い
ま朝晩、冷え込んできたので、足湯は大変喜ばれます。また、泥出しがだいぶ終わり、一旦小休止という感じもありますが、そこにこれからの住宅の再建や仕事
のことなど将来のことを考えなくてはなりません。被災者の方はステージが変わるいまとても不安を抱いていると思います。足湯の際に聞こえてくる声なき声が
とても重要になってきます。
た
だでさえ、仮設は建設されずに、被災者の方はいわゆるみなし仮設に入っていてコミュニティはバラバラです。私たちにとっても仮設や避難所に行けば被災者の
方に会えますが、局地的な災害のため、仮設は建設されず被災地に行ってもどこに被災者の方のお宅なのかわかりません。いま、被災者の方と個別につながり
フォローしていかなければ、被災者の声は埋もれていきます。避難所からの引っ越しのお手伝いや暮らしの再建など、まだまだ必要なことはあります。当セン
ターではスタッフを常駐させながら当面の間支援活動を行っていきますので、今後ともご支援・ご協力よろしくお願い致します。
<トピックス>
6日には「NPO/NGO連絡会」が開かれ、生活支援に関する分科会としての位置づけで開催されました。今回の趣旨としては、生活支援の課題共有がメインでした。
出
てきた課題としては、引っ越し先で孤立している人への支援の手だてがうまく見つけられていないことなどが出されました。当センターからは、阪神・淡路大震
災の経験から引越しサポートの必要性を提案したところ、グリーンコープさんが早速土日は販売用の車両を動かすことが出来るという提案をされ
て、ニーズがあればグリーンコープさんにつなげば、土日での引っ越し作業はボランティアで手伝うことが出来るようになりました。
また、市営・県営以外に入居した方への家電等の支援がない、家賃無料の入居期限が6ヶ月(民間アパートの場合は3ヶ
月)でしかない、自力で民間アパートを契約された方への
家賃保証等は全くない、といった課題に対して住民の声を集めて政策提言をしていくべきだろう、という事も提案しました。これもこれまでの災害(雲仙普賢岳
災害・長崎、阪神・淡路大震災、新潟県中越などで置かれた「復興基金」が有効なのですが、今の金利状態ならば利息で運営することが難しいので、一工夫が必
要かもしれません。
今回の分科会は出来るだけ定例化して週1回程度の集まりにしていこうという確認はとれました。今後、現場の課題の共有からその解決のためのアクションを生み出す場として機能していけばと思います。
(頼政 良太・増島智子)
(連絡先)被災地NGO恊働センター
〒652-0801 神戸市兵庫区中道通2-1-10
TEL:078-574-0701/FAX:078-574-0702
E-mail:info@ngo-kyodo.org(担当:頼政・村井)
郵便振替 口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
*お手数ですが、通信欄に「2014、7月8月豪雨水害」と明記下さい。
ゆうちょ銀行 支店番号:一一九(イチイチキユウ)店/店番:119/当座
0068556/受取人名:ヒサイチNGOキヨウドウセンター
(*なお、申し訳ありませんが、どの被災地に活用するかは当方にお任せ下されば助かります。どうしてもご指定があれば、「丹波」「福知山」「広島」などとご記入下さい。)